2014年8月2日-4日 Mt.Alberta (3619m) Japanese Route V 5.6

この時はまだ元気だった。。

7/30-8/1と家族でキャンプに行きサービスをした後は、自分の山行!
仕事、家族、自分とバランスをとるのは大変で、巷ではバランスがとれていないことで有名なワタクシですが、ガイドとしては自分の山に行く時間は絶対に必要です。

こんな大変な場所にお客様と行くことは確実にないのですが、トレッキングガイドも体力が資本、日々の山行により山に必要な体力が付き、連日続くトレッキングガイド中も、疲れを気にすることなく、お客様と目一杯遊ぶことができます。
また、疲れてくると判断が鈍るので、適切な状況判断のためにも自分が疲れないことが大切です。

ということで、挑戦したのはカナディアンロッキーにある山でノーマルルートが一番ハードな山、マウント・アルバータ(3619m)。

結果はチームは勝利、でも個人的は敗退でした。
つまり、3名チームで行きましたが、私以外の2人は無事に登頂。
私は、途中で実力不足を悟り、取り付きで待つという判断をしました。

1年に1回ほどしか、このような大変な山には時間的にも、精神的にも行けないので文句は言えませんが、体力、精神力、技術と、つまり総合力がこの山に対しては不足していると感じての判断でした。
ノーマルルートのグレードがアルパイン5。最高グレードです。
クライミング的には5.6なので優しい(筈)なのですが、その他の要素、アプローチの長さ、悪さ、岩の質、標高、などなどを総合すると、最高グレードに跳ね上がると。

去年敗退したロブソンはアルパイン4なので、まずはロブソンに登っておけってことでしょうね。

さて、このアルバータは日本とのつながりが超深いです。
ロッキー最高峰であるマウント・ロブソン(3954m)が数度の挑戦により、1913年(大正2年)に登られた後、皆の注目が集まった山がこのマウント・アルバータ。1921年に出版されたクライミングガイドブックに難関の未踏峰として紹介された後も、やはり何度かの挑戦をはねつけていましたが、1925年(大正14年)、日本山岳会設立者であり、アイガー東山陵の初登攀、日本人初の8000m峰(マナスル)遠征隊の隊長、という肩書をもつ槇有恒が6名の遠征隊を編成し、はるばる日本からカナダへ。
ジャスパーから40頭の馬で物資を運び、苦闘の末遂に初登頂!
このカナディアンロッキーに、日本人の足跡を刻んだのです。

そんな山の登頂から約90年。偉人たちの苦行を体験しに、ガイド仲間の剛士、友人の千春と我々も挑戦しにいきました。
馬40頭の代わりに、我々は車。240馬力なので60倍!
道もジャスパーからレイク・ルイーズまで230kmをつなぐアイスフィールド・パークウェイが整備されているので、家から約3時間半でトレイルヘッドに到着。はい、楽させてもらっています。既に先人の大変さは8割りほど減っていますね(笑)。

山行は3日間。
初日は、極寒の渡渉、ザレ場の急登、そして氷河を含むアプローチ。約7.5時間
2日目は、朝2時半に山小屋を出発、夜中の12時半に到着、22時間の行動時間の登攀
3日目は、来た道を車まで登る下山、5.5時間

初日と3日目は大したことないのですが、2日目は半端なくハードなので、これをこなす体力がまず必要です。

2日目の登攀は、登攀の取り付きまでが約9時間(順調にいけば6時間で到着可能)のあとに、10-12時間の登攀、その後下山で4-5時間かけて戻ります。
前述のとおり、私は2日目のアプローチまでで断念。
アプローチとはいえ、ルートファインディングが超難しく、そして脆い岩のトラバースが続き、脆いのでロープも付けれないので、そこで消耗してした結果、ギブアップ。
体力もそうですが、精神力も鍛えないといけないと思いましたね。

パートナーの2人はそんな中でもきっちり登頂。降ってきた剛士曰く、もう2度と行きたくない(ほど脆く、陰鬱)とのこと。でも初トライできっちり登ってくるところは、さすがの一言。自分もいつか再挑戦したいですが、そんなのを聞くとなおさら行きたくないっすね。でもいつかもう一度行きます!

今回は登れなかったことは残念ですが、気の合う仲間と濃密な時間を一緒に過ごせたという事実はあるわけで、まだまだ色んな山に挑戦したいなと思うわけです。

剛士、千春今回はありがとう!
また一緒に登りましょう。

朝一の渡渉。なぜ笑っているかというと、めっちゃくちゃ寒いから
右ダイアデム(3371m)と左ウーリー(3405m)。ウーリーは槇隊がやはり初登頂
モレーンの上を行く、このへんまでは楽勝
ランチ中
三葉虫の化石
ザレ場の急登を終えるとウーリーショルダーへ
小屋まで氷河を横断
千春

日本山岳会からの資金提供によってたてられた山小屋
小屋の内部
小屋からはばっちりアルバータが見えます
2日目、このようなザレ場をひたすら歩く
景色は最高っす。左からノースツイン、ウェストツイン、サウスツイン、マウントコロンビア
登攀開始
待機中のセルフタイマーショット、涙がでます(笑)
夕焼け近し
全部3500m以上
下山中
無事に下山。
まずは無事に帰ることが大切です!