130428-0502 Wapta Traverse


ゴールデンウィーク真っ只中の4月下旬、日本からお越しの児玉様を、カナダのオートルートといわれるワプタトラバースに案内しました。

ワプタトラバースは、氷河の上を歩きながらカナダ山岳会が所有する山小屋をつなぎ、約50kmを縦走するもの。今回は4泊5日の行程で、無事完歩しました。

トラバースとは北米でよく使用される言葉で、ある地点からある地点まで歩くスタイルの山行、日本語で言うと縦走を指します。
日本で使用している、山の中で平行移動(短距離)をするという意味でも使用します。念のため。

ちなみに、ワプタ(Wapta)とは先住民の言葉で川をさします

縦走自体はアップダウンも少なく、ルートファインディングもシンプルですが、氷河の上を歩くので氷河の知識、クレバスに落ちた時のレスキュー方法、ホワイトアウトした場合のナビゲーションなどなど、専門的な知識が必要ですので、気軽にいける場所ではありません。

また、何もないようにするのがガイドですが、何か会った場合にも対応できないといけません。
カナダの山のほとんどは携帯が圏外、その為に出力が強い業務用無線を持参し、国立公園と連絡が取れるようにしています。
仮に谷底なので無線が入らない場所では、GPS経由でレスキューを呼べるまた別の機械も持っています。

左がGPS経由のレスキュー装置、右が業務用無線

レスキューは通常ヘリで来ますが、木が多い場所などでは着陸できないので、タープを改造した搬送用ソリも持ち歩いています。
そんなこんなで、荷物は食料も含めて20kgぐらいでしょうか?
お客さんはもう少し軽い荷物ですので、ご安心を。

さて、前置きが長くなりましたが、ワプタトラバースの様子を写真と一緒にどうぞ。

4月28日 ボウレイクからボウ小屋へ
いよいよスタート。まずは凍っているボウレイクを横断します。
児玉様もやるきまんまん

生憎天気は悪く、ホワイトアウト状態

約4時間で山小屋に。マットはあるので寝袋を持参

キッチン、リビングキャビン。薪暖炉なので温かいです

夕食は私特性のカレー

4/29 ボウ小屋から日帰り登山の予定だった
今日は昨日より悪い天気。雪もバリバリ降っていて30cmほど積もりました。
雪が降るということは氷河上はホワイトアウト、午前中に少し滑っただけで、あとは停滞を余儀なくされました。

雪ですが折角なので雪崩レスキューの練習
小屋には食器も完備






水は雪をとかして作ります

プロパンのコンロも3台完備
暖炉でくつろぐリラックスタイム

夕食はカルボナーラ

4/30 ボウ小屋からバルフォア小屋へ
天候は急回復し青空も見える天気。小屋までの途中にMt.Oliveにも登頂しました。
それにしても、60歳を超える児玉様の体力のあること、運動をしない僕の友人よりも全然たいりょくありました。すごい!

セント・ニコラス山をバックに

氷原に上がるとこんな景色

目指す山はMt.Olive
Mt.Oliveに無事登頂

ロープアップ
天気も良いので稜線で昼食。やっぱライスでしょ!
バルフォア小屋

額縁のような景色

夕食はビーフシチューご飯

 5/1 停滞
次の小屋スコットダンカン小屋に行く予定でしたが、最悪の天気。
今までないぐらい強い風と雪。もちろん視界はない。
しかもこの日はワプタトラバース最難関のクレバス地帯、懸垂氷河地帯を通過するので、視界が必要です。ということで、無理せず停滞することに。
明日の天気次第では、来た道を戻る安全ルートを取る必要もありでした。

朝ごはんはラーメン

昼ごはんはライス

5/2 バルフォア小屋、スコットダンカン小屋をすっ飛ばし下山
昨日停滞を余儀なくされましたが、天気が回復したので次の小屋をすっ飛ばして一気に下山し、縦走を完走することに。児玉様の体力があってこそできる芸当です。距離にして23km。朝5時起きで出発です。
最後はさすがに疲れましたが、充実した氷河縦走。このコースは山小屋が少ないカナダで、テント無しで行ける唯一の縦走コース。おすすめですよー。
過去のワプタ系のログはこちらから

5時起きの6時出発

素晴らしい朝焼け

後ろの氷河は一昨日通った場所

次の小屋に行くだけなのになぜか早起きの別パーティー

懸垂氷河が上に迫る

3000mの峠に到着。後は下るだけ

まだまだ氷河は続きます

氷河の上はまだまだ良い雪

ヨーホー国立公園のレイクオハラ地域の山々

天候は不安定でしたが、なんとか予定通りの縦走ができました。
若者でも慣れてないと縦走は疲れるもの、ただ児玉様は昔から山登り、山スキーをされているので、体力抜群でした。やっぱりやり続ける努力が大切と教えて頂きました。

小屋滞在中に、下山後の予定を話しながらもう一度氷河に上がりたいとのご要望を頂いたので、
町からの日帰りバックカントリーの予定を、急遽変更。
2日間の休みを経て、3泊4日で別の小屋にあがることにしました。
まだまだ、児玉様の旅は続きます!